7ダム映画1

戦後日本のノンフィクション映画界を瞬く間に成長させた原動力は、1950年代からの高度経済成長であった。その勢いに乗った企業や官公庁はPR映画の製作を加速、あらゆる分野において、製造物の価値を訴え、あるいは自社の宣伝を行う映画をこのジャンル専門のプロダクションに発注した。なかでも、この時期のPR映画を象徴する分野が、戦後の電力需要の急増などに対応して全国で建設されたダムの建設記録映画である。人間が自然を大規模に改変し、古くから住む人々に移住などの犠牲を強いながら、現代人の生活を支える立役者となったこの巨大なモニュメントと映画の出会いに注目する。
佐久間ダム[総集篇]
- 96分
- 35mm・カラー
深い砂礫層などの障害をアメリカの大型機械を導入して克服、着工からわずか3年あまりで完成に至った日本土木史の金字塔、天竜川佐久間発電所の建設記録『佐久間ダム』。この時代の産業PR映画の興隆を象徴するこの大作は、長期現地滞在の撮影班により、その築造工程を3部作として詳細に記録している。この総集篇は、3部それぞれの原版ネガフィルムを解体して再編集したバージョンである。
1958(岩波映画製作所)(監・脚)高村武次(製)吉野馨治(撮)小村静夫、加藤和三、藤瀬季彦(編)伊勢長之助(音)芥川也寸志

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長瀬記念ホールOZU -
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